地方の動物園はある共通した悩みを抱えています。開設当初は住宅地と離れた郊外におかれていたものの、その後の開発により周辺地域が新興住宅地となる例も少なくなく、風向きによっては飼育舎の悪臭への苦情がたえないことです。
さらに園の運営に関しても野生動物売買への国際的規制が強くなり飼育する動物の種類が減る一方で、さまざまな理由から飼育動物の繁殖率が下がっていることです。
ことに日本の動物園にとって”アフリカゾウの繁殖”は緊急の命題であり、このまま繁殖が進まなければ、「日本の動物園で10年後にはゾウいなくなる可能性が大きい」とまで、言われています。
そんななか2012年11月より「秋田県立大森山動物園」にて「秋田県」「秋田県企業活性化センター」「秋田銀行」「野村アグリプランニング&アドバイザリー」の4社によって、ある実験が行われています。
いつもの飼料のなかにNS乳酸菌を混ぜるとともに、糞尿場をはじめとする悪臭の発生源に乳酸菌生産物質を散布することによって、”サル山の臭い軽減”、”動物の健康増進”、”繁殖率の向上”を目指す試みです。下記の大森山動物園機関紙にもあるように、まだ施行後わずかな期間であるにもかかわらず、目立った成果が見えているそうです。
まず臭気に関しましては、数値によっても違い(軽減)が顕著であります。厩務員の方々や園長先生のお話でもかなりの改善がみられます。
またいまアフリカゾウとピューマに関して、”繁殖”の期待が大きくふくらんでいます。ピューマにおいて久しくとだえていた”交尾行為”が見られたそうです。(ピューマ飼育担当者の方でさえ何時以来か、記憶が定かでないくらい久々の出来事だったそうです。)
秋田市の大森山動物園のNS乳酸菌を利用した実験が成功することで、全国各地の動物園に広がり、飼育されているペットの健康とストレスの軽減につながり、ひいては絶滅が危惧される希少動物の繁殖につながることを期待してやみません。